天烏由貴のマイペースな創作ブログ。
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激化していく父子の争い。
荒れていく世界。
「行くぞ、女媧を殺る前にまずは親父からだ」
そう言うと黒竜は吼え、共工を乗せると祝融に向かった。
「情けない」
それに祝融は全く動じることなく太刀を握ると、大きく振り翳した。
すると、炎の輪は共工と黒竜に向かって来た。
「大河に入れ!」
素早く黒竜は共工の命令に従い、炎の輪から逃れる為、大河へと飛び込んだ。
大きな竜が大河に入ると大河の水は大いに溢れ、大量の水飛沫を飛ばす。
その飛沫は祝融にも降りかかった。
「くっ、なんて奴だ」
祝融は険しい顔をしながら河を見た。
しかし、もうそこには共工と黒竜の姿はなかった。
しかも、河自体黄色に濁っており底が全く見えず、何処に行ったかわからなかった。
「逃げる気か」
祝融は双竜を手綱で引っ張り、足で腹を蹴ると河の上へと近づいた。
その頃、大河の中では共工と黒竜は河の流れに任せてなるべく祝融から離れるように距離を置いていた。
「親父の力を弱らすぞ。雨雲を呼べ、それで俺は洪水を作る」
水の中にいながらも話せる共工は黒竜に言うと、言葉を聞き入れた黒竜は河から姿を現し、大きく吼えた。
その声は祝融にも届き、声のする方を見ると黒竜と共工は祝融のいる所から大分離れた所にいた。
苛立っているような舌打ちが鳴る。
祝融は急いで双竜を黒竜の所まで向かわせた。
また黒竜は大きく吼える。
その声に共鳴してか、もう凄い速さで黒い雲がどんどん集まり、空を覆い始めた。
「雨雲を呼ぶ気か」
祝融はこの雨雲を見て、もし雨が降れば自分の力が弱まるのに対して、共工が力を強まることを恐れた。
次の瞬間、稲妻が唸りだした。
黒竜はまだ吼え続け、雨雲を呼ぶ。
何としても雨雲を鎮めるには黒竜を抑えるしかなかった。
「双竜、手加減はいらん。黒竜を火炙りにしろ」
そう言うと双竜は二つの口から大量の炎を黒竜に向かって吐き出した。
だが、それは突然、間欠泉のように湧き上った水によって炎は掻き消された。
「余計な事をするな」
黒竜の頭の上に立っている共工は言った。
「所詮、火は水に勝てない」
共工は手を天に掲げ、大きく振り落とした。
「それを思い知れ!」
それを合図に雨雲は滝のように勢いよく大雨を降らせ始めた。
避ける事が出来ない容赦ないその雨に祝融と双竜は雨を一身に受けた瞬間、体勢を崩す。
共工は隙を狙って、水を操り、大量の水を祝融に向かって放った。
その水は見事祝融に命中し、祝融は今まで握っていた双竜の手綱をついに手放してしまった。
すると、祝融は水の勢い双竜から落ち、地面へと降下した。
上手く当たったことに共工はニヤリ、と笑む。
共工は黒竜に降下している祝融を追わせた。
双竜もそれを知ると急いで祝融を受け止めようと、下へ向かう。
「ふざ、けるな」
祝融は落ちながらも悔しがるように言った。
拳を強く握り締め、上を見ると共工が黒竜と共に止めを刺そうとこっちに向かっているのと共に双竜も後を追って来ようしているのが見えた。
「出でよ、我が僕」
手で印を組み、言霊を唱える。
祝融が一息吹くと、その息から火の鳥が一羽飛び出してきた。
出て来てすぐさま鳥は落ちていこうといる祝融を拾うが、自分の身を痛めつける雨に苦しそうな悲鳴を上げた。
「すまない、今は耐えろ」
祝融はそう言うと鳥に手を添えると、だんだん鳥の身は大きくなっていった。
鳥は大きな翼をはためかせ、上へと登っていく。
だが、降ってくる雨は一粒、一粒がとても大きく、当たると痛い、重い雨だった。
さらに、風も伴い、雨の冷たさをより感じさせる。
鳥は雨と風に押し負けし、だんだん身が小さくなっていった。
「いい加減にしろ、あんたは力では俺には勝てないんだ!」
共工はそう言うと、剣を天に向かって掲げた。
忽ち、稲妻が剣に集まり、剣が稲妻を帯びる。
「それがどうした!」
対して祝融も太刀を構え、共工と対峙した。
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